建築家の坂口さんは、路上生活者の家を調査する研究家だ。
それを通じてひらめいた『都市型狩猟採集生活』のお話をしてくれる。
都市型狩猟採集生活者は、無職・無一文なのに工夫を重ねて、
たくましく悠々と暮らしている。
そのたくましさはとてもステキだと思う。
彼らは、空間の作り方においても、画期的な方法をとっていた。
0円ハウスはそれほど広くないが、彼らはその空間に非常に満足していた。
身体の延長線上のような感覚で家をつくっているので、
住む人間に完全にフィットした広さになっているのである。
しかも、彼らは家の中だけでなく、あらゆる都市空間を
まるでリビングルームや庭のように使っている。
公園をトイレや水道として、
コンビニは定期的に廃棄弁当を獲得できる冷蔵庫として、
各地のゴミ置き場は大地も恵みをもたらす湧き水として利用している。
また、ガソリンスタンドではバッテリーをもらい、
スーパーの掃除をしては廃棄食材を分けてもらい、
パチンコ屋では忘れ物のタバコを見つけ、居酒屋ではカセットコンロを拾う。
都市全体がまるで自分の家の機能のような役目をしているので、
実際の家には身体にフィットする小さな空間だけあれば十分なのである。
ぼくが彼らから聞いた言葉を一言でまとめるならば、こうだ。
「人間、どんな状態になっても、ぜったいに生きていけるよ」
にんげんって、たくましい生きものなんだと切に思う。
たくましく生きていきましょう。